第31回日本最小侵襲整形外科学会 第31回日本最小侵襲整形外科学会

会長挨拶

谷戸 祥之

谷戸 祥之
独立行政法人 国立病院機構
村山医療センター 院長

2025年11月8日に東京で第31回日本最小侵襲整形外科学会を開催させていただくことになりました。伝統的な本学会を主催させていただくことに感謝をするとともに責任の重大さをひしひしと感じております。

さて本学会が始まった頃にはまだ最小侵襲をめざすといった概念そのものが少なく、多くの医療従事者にこの概念を定着させたことが本学会の最大の功績であると考えております。内視鏡手術、経皮的スクリュー、筋肉を温存した椎弓形成、LIF、ナビゲーション手術等様々な術式が本学会で紹介され、いまでは常識となっている術式も数多くあります。医師の技術力を向上させ、より低侵襲で安全な術式は本学会から発信されてきました。

では31回を迎え本学会のこれからの課題とはどのようなものになるのでしょうか。
医療従事者のほぼすべては患者さんのためになる医療を心がけ、常に侵襲を少なくしようと努力しています。これからもそれぞれの工夫、試みをお互い共有しよりよい医療を目指していくべきと考えております。その中には医療従事者の負担を減らすこともふくまれます。働き方改革も定着した今日、医療従事者の負担を軽減させなければ、より多くの患者さんに安全な医療を提供することは不可能になります。医療は常に進歩しており、限界はありません。まだまだわれわれには考えるべきこと、検討すべきことがたくさんあるはずです。単なる過去の延長では未来はありません。そこで本学会のテーマは“Plus Ultra(プルスウルトラ)”としました。プルスウルトラとは「もっと先へ」 「遥かかなたへ」を意味し、スペイン国王カルロス1世のモットーが語源とされています。「限界を超えて進め」という意思を伝える言葉として様々なシーンで用いられてきました。

本学会の主題は以下の四つとしました。

  • 我々の低侵襲治療とは
  • 骨粗鬆症は手術侵襲に影響するか
  • チーム医療 術後合併症を減らす試み
  • 医療の効率化 働き方改革に向けて
近年、関節の再生医療や脊髄刺激療法など様々な手術に至る前の治療法が新たに紹介されつつあります。これらもいわゆる低侵襲治療と考えることができます。これからの高齢化社会を迎え、骨粗鬆症の治療を併用することなくては手術治療も困難な症例も増加しております。また多職種での共同の治療により術後成績を改善する試み、合併症をへらすことも検討されております。

今回はセッションごとに座長による優秀賞を選定し、賞状と記念品を贈答させていただきます。本学会では医師のみならず、メディカルスタッフ(看護師、理学療法士、作業療法士)のセッションも設定させていただきました。是非ともみなさんでご一緒に参加していただけるとありがたいです。